自分は前向きな人間だ、
いや、自分は後ろ向きな人間だ。
と考え自己分析することはとても大切なことかもしれません。
でも、私が考えること、スノーワンダーを通じて感じていることは、
目的意識をはっきりと持ち、高いモチベーションで物事にチャレン
ジしている人たちは、そもそも自分が前向きなのか、後ろ向きなの
かをいちいち考えていないのではないでしょうか。結果的に、第3
者から『おまえは前向きだな〜』と指摘され初めて『そうかもしれ
ない』という程度。私はもちろん、ここにいる子ども達はそうです。
目標や目的意識のレベルが低いと、何をするにも意欲が煮え切らず、
目標や目的意識の低さを棚に上げ、何が悪いのか考え始めます。そ
れが次第に辛くなり、自己嫌悪に行き着く。最後は何かにすがりた
い気持ちになり、結果、後ろ向きを極端に肯定する考えにいたり、
負のスパイラルに落ち込んでしまう。
目的意識が高いスノーワンダーランドの子ども達は。昨日の雪上大
運動会でこんなやりとりがありました。
最終競技。10人11脚。雪原に設置された4つのフラッグを獲得
する競技。1番から4番のフラッグには、順に25点、20点、15点
10点、5点と点数がつけられています。もちろん、点数の高いフラッ
グはスタート地点から遠く、さらには雪の深い歩きにくい場所に設置さ
れています。つまり取りにくいわけです。さらには、一発逆転のボーナ
ス点として、一番最初にフラッグを獲得した班に25点、以下、順に2
0点、15点、10点、5点と加算されます。つまり、班として高得点
をねらいたければ1番のフラッグを1番早く獲得し25+25で50点
をねらうわけです。逆に、もう勝てる見込みがあれば、何も無理にとれ
るかも分からない1番をねらうよりは、安全に4番のフラッグを一番早
く獲得し、10点+25点で35点を得た方が得策かもしれません。
最終競技直前の順位は、
1位 3班 90点
2位 4班 70点
3位 1班 65点
4位 大人 50点
5位 2班 25点
この時点で、3班が圧倒的優位。
一方他の班は、1番のフラッグまたは2番のフラッグを1番に取らない
限りは優勝は難しいという状況。
これらを考慮すると、1班は悪くても3番のフラッグを一番最初に
獲得すれば、必ず優勝できた状況において、子ども達は・・・。
『みんなで全力を出して競技しないと意味がない!』とせいさく。
『取れなくても、みんなでがんばれるならそれでいい!』とだんだん。
結果、あっという間に1班のフラッグを一番最初に取るという結論に。
これが冒険です。ハラハラ、ドキドキ、ワクワクすることに、勇気をも
って一歩踏み出す行動。しかし、結果はだれも保証してはくれません。
であるからこそ、高いモチベーションを必要とするのです。このとき、
ここにいた子ども達は、自分は前向きだからとか、後ろ向きだからとい
う理由で班の方向性を判断したでしょうか?
いいえ、その瞬間、心の奥底からあふれ出る『やる気』がチームの方向
を一瞬のうちに決定したのです。もちんろ、その班員全員が。
繰り返しになりますが、スノーワンダーランドは子どもの意識レベルを
ここまで引き上げることが最終的な目標です。その目標に、3班の子ど
も達は一歩近づいたようです。
きむ